う飄々(仮)

いうてまじめやで。

2013-01-01から1年間の記事一覧

生類憐れみの記

僕の目は曇ってしまった。 何かよくないことが起こって僕の目は曇ってしまった。物事が鮮明に見えていたはずなのにいつの間にか玉手箱が開いて視界がぼんやりするようになった。物の形にくっきり輪郭があったのが昔のことになってしまった。 そういう経験は…

思考停止と言われても

二つの価値観を同時に持つというのは不可能なことなのか。 自分ではその訓練をしてきたつもり。訓練というか実験? 今までのところ全部失敗に終わっているわけだけれど。あぶはちとらず、どっちつかずの半端者に終始している。これからもそうだろうと思う。…

発表!【2013映画ベストテン】

さあさあ!やってきましたよ年末が。 今年の映画ベストテンはどんなラインナップになるのでしょうか。 映画ベストテンはわたくしが映画館で見た作品のみで構成されております。 御託はこれぐらいにして、さっそく行ってみましょう!! まずは邦画から! 【邦…

「かぐや姫の物語」思い出されること

かぐや姫の物語を見た感想というか文句 http://ryryoo.hateblo.jp/entries/2013/11/28 先日、かぐや姫の物語を見たあとの感想を書いた。読み返してみたらひどいと思った。とくにラスト一行。 退廃的な匂いがする。僕の鼻がおかしくなければ。 ・・・・おめえ誰だ…

『ドライブ・マイ・カー』のフック

文藝春秋に掲載された村上春樹の短編小説を読んで思ったことを書き残しておく。最近、村上春樹について書きすぎているような気がしてすこし心配になるけど、これについては書かないわけにはいかない感がある。 『ドライブ・マイ・カー』という小説。俳優が主…

映画「ゼロ・グラビティ」を見て宇宙へ行こうプロジェクト

映画「ゼロ・グラビティ」を見てきました。 この映画に関しては、見た人それぞれの感想とはべつに、統一された意見があると思います。すなわち「映画館で見るべし」。 映画館で映画を見ることのリッチ感が僕は好きなので、すべての映画をできれば映画館で見…

1Q84が齎したモヤモヤ

村上春樹の『1Q84』を読んだ。狙いのようなものがあるように思ったんだけど、なんとなくもやもやした。ちゃんと狙いを読み取れてるのか不安になるというのもあって、安心して本を置けなかった。そのせいで若干、不完全燃焼感が残った。小説にとって作者の狙…

余計なお世話と親切のちがい

似ているようでちがうものはこの世にたくさんある。 たんにちがいを見るなら、全部ちがう(=全部ちがうという点で全部いっしょ byガガ様)というだけのことだが、一見、同じように見えるというところからふたたび「ちがい」を見出すというのは「ちがい」が…

適切なスケールと連続する文体

自由自在なやり方がいい。勝手気ままに思ったことを口にしたい。 文字にするときにもそういうやり方でひとつ、なんて思っているんだけど、そんなやり方も一貫できないで、つい固くなってしまう。 自分の場合、感情が高まったときに何かを書こうとする。テン…

滝はきれいだと思う。たしかに滝はきれいだと思う。 否応なく次から次へと落ちていく滝はきれいだと思う。 轟音にかき消して声を聴けなくする滝はきれいだと思う。 飛沫が風に交じって雨の匂いがする。 たしかに滝はきれいだと思う。

ダニエルとカーネマンと経済と心理

僕は心理学には興味ないし、経済学にはもっと興味ない。 でもその2つが組み合わさって、ノーベル経済学賞を受賞するほどの功績を残したダニエル・カーネマンには興味をもった。ダニエル・カーネマン、名前がいい。 なんとなく、クソデブで姑息で陰湿で差別主…

かぐや姫を見た感想というか文句

かぐや姫の物語を見た。 すごいとは思うけど、あまりノレなかったというのが正直な感想になる。*1 もっと率直に言うと、自分には難しかった。わからないところがあった。見終わったあと、メッセージのようなものを受け取り損なった感覚が残った。 途中はすご…

役に立つということ

「役に立つ」っていうのは、他人のためになるということ。 他人のためになる、というのにはいろいろなレベルや種類がある。パッと思いつくのはこの2つ。 正しいことを言って他人の認識を正す おもしろいことを言って他人を面白がらせる どちらも役に立つ=…

絶対泣く系のやつ

映画にしろアニメにしろ小説にしろ何にしろ、絶対泣く系のやつがあると思うんです。 それはもはや「あざとい」とかではなく、いろいろ超越してしまってるというか、泣くといっても「絶対」なのでそこに意味がなくなるというか、ある種の価値だということから…

一般>特殊

演劇をされている方たちと接する機会があった。 演劇ワークショップ(以下WS)なるものに参加してきたのだ。僕はそこで疑問に思っていたことを解明しようとした。 演劇WSといってもバリバリの役者の方ばかりが参加するものではなく、たぶんそれ系の中でもも…

横道世之介を見た

待ちに待った映画「横道世之介」がiTunesストアで解禁されてるのを見つけて、とうとう観ることができた。 見ながら、「いよいよ時代のニューヒーロー誕生か」と思った。 ちょっと間抜けで憎めない横道世之介のキャラクターが関わった人たちを笑顔にさせる。…

魔の山を読み終えたのです

長ーい読書が終わった。昨日の深夜12時過ぎぐらいのことだ。正確には2013年11月13日の午前0時半頃のことだ。 僕には好きな本がたくさんある。そしてあえて分類するとそこには好きな本と大好きな本がある。たとえば、トーマス・マンの『ヴェニスに死す』は好…

良きにしろ悪しきにしろ

村上春樹のことが書かれている文章にはおもしろいものが多い。 村上春樹の「好き」「嫌い」はどこで分かれるのか? に関する一考察 - (チェコ好き)の日記 これとかすごくおもしろかった。 書籍では、大塚英志、斎藤環、三浦雅士あたりが書いている村上春樹論…

バレエ・フォー・ゲーム

最近、バレエを見ることにハマり始めた。 ダンスを見て喜ぶなんてまるでジジイみたいだなと思いつつ(ダンスは踊るものだと僕のなかの小僧が申しております)、これがおもしろい。 急にバレエに興味を持ったのは、完全に読んだ本の影響で、三浦雅士の『人生…

花火にデジカメを向ける人たち

学生時代、人格的に模範的な優等生だった私が唯一無条件に馬鹿にし、馬鹿にすることを自分に許し、どころか積極的に奨励さえしていた類の人間たちがいる。 花火の写真を取ろうとする人たちだ。 私は、この人たちだけは唯一、軽蔑していた。 一瞬の輝き、その…

嘘で何が悪いか

「地獄でなぜ悪い」という映画がとにかくおすすめ。 ・血が出る。 ・血がドバドバ出る。 ・めちゃくちゃな展開。 ・なんとなく懐かしい突っ走り感。 ・疾走感ではなく、突っ走り感。 ・役者。 ・セクシー。 ・笑顔全開。 ・映画愛。 ・いびつな映画愛。 ・死…

反撃的人間の行き止まり感

どーん! すばる 2013年 11月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2013/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (2件) を見る すばる11月号掲載、福嶋亮大『「反劇的人間」のゆくえ―前田司郎について』を読んだ。 福嶋亮大さんは山崎正和のことを…

思い出すこと

ふと、これまでに出会ってきたみんなの笑顔をとりとめもなく思い出して、悲しくなることがある。 持論だが、よく笑う人というのはよく泣く人でもある。人が一生で笑う総量は泣く総量と等しい。 とはいえ、表面上イコールということではない。おかしいときに…

黄色い車

「華麗なるギャツビー」がDVD・ブルーレイになるらしい。 僕は映画館で見たけど、DVDで見るにしても充分おすすめできる映画だと思う。 この映画には7月2日のエントリで触れている。 「美しい映像」というと、それを見ていない人にはピンとこないばかりか、あ…

やぁ、ごめんごめん。探したよ。

「ハウルの動く城」を見た。おどろいた。 戦闘シーンが、ある。大きな飛行機が燃えて、今しも墜落しようとしている。 「風立ちぬ」を見たからだろうか。以前には燃えてるな、としか思わなかった同じ映像が、今回はかなりショッキングに映った。 「ファンタジ…

そんなら死なずに生きていらっしゃい

夏目漱石のエッセイ集に『硝子戸の中』というものがある。 そのなかの六・七・八に、女の告白を聞く話がある。 かいつまんで言うと、女がとても苦しい身の上を話しに来るという話である。 女は漱石に自分の境遇を小説にしてほしいという。もし先生なら、女の…

好きか嫌いか、それが問題だ。

好きか嫌いか、それが問題だ。 演劇について考えさせられることがあって考えていたんだけど、この問題というのは演劇というものの社会的な存在感とも関連するということに思い至った。というか、関連せざるを得ない。 まず、演劇は外部にはほとんど知られて…

ヤバい、面接官がいっぱいだ。

ところで、僕は最近ぜんぜん本を読まない。 具体的にいうと、この夏(8月と9月)の間に読んだ本は3冊である。 ・ヴェニスに死す ・色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年 ・大停滞の時代を超えて 3冊とも1日、2日のうちに読みきったことを思えば、この夏、…

ホームランっていいな、気持ち良さそうで

映画「マネーボール」を見た。 統計によって野球チームを勝たせようとするGM(ゼネラル・マネージャー)が主人公の話。 僕はマネーにもベースボールにもそこそこ関心がないから、ブラッド・ピット主演じゃなかったら見なかったかもしれない。ブラッド・ピッ…

飛び立ちぬ、いざ飲みめやも

飛行機設計者の話「風立ちぬ」を見て、飛行機操縦士の話も見ようということで、「フライト」を見た。 「風立ちぬ」では主人公をはじめとして、登場人物みんな「できた人」なのだが、フライトの主人公はいわゆる「クズ」である。主人公のアル中クズパイロット…