う飄々(仮)

いうてまじめやで。

「かぐや姫の物語」思い出されること

 

 

かぐや姫の物語を見た感想というか文句

http://ryryoo.hateblo.jp/entries/2013/11/28

 

先日、かぐや姫の物語を見たあとの感想を書いた。読み返してみたらひどいと思った。とくにラスト一行。

 

退廃的な匂いがする。僕の鼻がおかしくなければ。

 

・・・・おめえ誰だよ。鼻、おかしいよ。

書いたときに自分の鼻が変に敏感だという疑問を持っていたからこういう書き方になったのだと思うけど、それにしても、退廃的というのはあまりにも的はずれだ。

うまく言葉が見つけられないまま適当に言葉をあてはめて済ませた感がある。それこそ退廃的だ。なんのことはない、自分の鼻のなかに匂いの原因があったのだ。別に自虐でこういうことを言うのではなく、過去の自分という他人を叩いているからオーケー。何がオーケーなのかわからないが。

叩いた以上フォローしておくと、月にまつわるいろいろのことがあまりにもルナティックで、白々しく感じさせられたというところに不満があった。ネタバレだけど言ってしまうと、ラスト、月にかぐや姫の顔をはっきりと描くやり方はウケを狙っているようにしか見えなかった。そうだとしたら途轍もなくスベっているわけだけど、まさか高畑監督があんなところで笑いを狙うわけもないと思うから自分のなかに生まれた笑いの感情の持って行き場がなくなって集中を妨げられたのだ。自分のなかの笑いの感情が状況的にいやな笑いとして自分自身の目に映された。逆説的だけど侮辱されたように感じた。では監督にそういう意図があったかといえばそんなはずもなく完全に被害妄想なんだけど、異化効果という言葉をなまじ知っているせいもあって、なくもないと思わさせられた。

でも最近、寝る前にかぐや姫の物語のことを思い出したりする。

そのときに思い出すのは月にまつわることではなく、地球にあるものごとばかりだ。たけのこの笑顔とか、たけのこの庭とか、桜の花びらがひらひら舞い落ちる様子、求婚しに行く男たちの滑稽だけど妙に胸を打たれる様子、アゴ、そういったものばかりが断片的に思い出されて心が暖かくなる。

記憶のなかにあって完成する作品のように感じられる。鮮烈なイメージで描かれているからこそ記憶のなかにつよく留まっていて、ふとしたときに思い返して再度感動させられたりする。

もしかするとそういう感動はあの月の世界の描き方によってもたらされたものかもしれないと思った。たんに被益妄想かもしれないけど。

こういう見方をしているから僕には「姫の犯した罪と罰」というコピーはしっくりこない。結構ノイジーにも感じられる。ただ、純粋にいききらないためにそういう抑制もまた必要なのかもしれない。パーフェクトワールドを白々しく描くというのはおそろしく自制的な姿勢だと思う。なんというかすごい。ものすごい。

 

退廃的な匂いがする。