う飄々(仮)

いうてまじめやで。

かぐや姫を見た感想というか文句

 

かぐや姫の物語を見た。

すごいとは思うけど、あまりノレなかったというのが正直な感想になる。*1

もっと率直に言うと、自分には難しかった。わからないところがあった。見終わったあと、メッセージのようなものを受け取り損なった感覚が残った。

 

途中はすごく良かった。喜んだり悲しんだり怒ったり、季節がめぐることを知るシーンは最高だと思った。自分の好きなものが全部偽物だと知るシーンは、かなしくてしょうがなかった。想像だけど、それよりつらいことはないんじゃないかと思った。

 

なぜ偽物とわかるかと言えば、絶対の本物があるのを知るからだ。この映画の問題はそこだと思う。

 

絶対の本物=月の世界で、それがあるからこそ物語に胸を締め付けられることになるのだけど、僕にはそれが信じられなかった。この映画に入れ込めない一番のネックはそこだったと思う。月の世界に関しては絵も音も美しく感じられなかった、というより、胡散臭かった。単純にイケてなかったし、グッとくるものがなかった。

とくにラストシーンには吹き出しそうになった。おいおいマジかよ・・・・、

結局、エンドロールと主題歌をかなり落ち着いた感情状態で迎えることになった。自分の平静さに動揺するほどだった。

 

何が気に入らないと言って、月の世界に本物としての説得力がないということが気に入らなかった。物語に本物を見たいという望みをあしらわれたような気になった。

とはいえ、映画内に本物はあったと思う。とくに帝には好感が持てた。気ままに捨丸ライフも、おばあさんの小さな庭も、おじいさんの赤ら顔も、どれも本物というものだったと思う。もちろん、かぐや姫のすべての動きと表情も。はっきり言って好感が持てるなんてもんじゃない。

 

ただし、月、てめーはダメだ。池に映った姿は素敵だったけれども。

 

高畑監督は計算づくしのプレーヤーらしいので、僕が受けたこういう印象も彼の手のひらの上ということになるかもしれない。そういえば鏡に映ったかぐや姫もあまりイケてない感じになってた(イケてないという可愛さがこれまた溢れてはいたけど)。

 

よしんば月の世界のイケてなさが計算だとしても、いや計算だとしたらなおさら嫌だと思ったから、こうやって文句を垂れているのだ。

つまり計算だろうがそうじゃなかろうが、月をこっち側の本物に対抗させて、こっちを偽物ってことにするんだったら、あれじゃダメだろうと僕の全感覚が訴えておるのです。

 

退廃的な匂いがする。僕の鼻がおかしくなければ。

 

 

ミカドの肖像 (小学館文庫)

ミカドの肖像 (小学館文庫)

 

 

*1:隣の席にスマホ触りながら鑑賞している女がいて、前の席に感想言い合いながら見ている大学生ぐらいの男二人組がいて、さらに後ろの席から座席を蹴られたりして、集中力を削がれたことも影響しているか。