う飄々(仮)

いうてまじめやで。

プランB 最高傑作!

 

「ワールドウォーZ」を見てきた。たいへんな映画だと思った。緊迫感の出し方がすごい。

 

ゾンビ映画だと認識して見に行ったから、急転直下のゾンビ展開にもすんなり入り込めた。知らずに見に行っていたら、もしかすると、え?え?となって、何これ…、とか思っているうちに終っていたのかもしれない。いちばんはじめにゾンビにやられるパターンの人みたいに。前情報がなければ、すぐ切り替えられるかどうかの一瞬が生死を分かつということが、もっと感覚的にわかったのかもしれない。

アイ・アム・レジェンド」を見に行ったとき、日本の映画宣伝の罠にかかって、面食らったことを覚えている。ウィル・スミスが閑散とした都会の中でゴルフをするシーンが予告で流れて、これは面白そうだと見に行ったらゾンビがすごくて口開きっぱなしになった。

今から思えば、あのとき僕は最初に出てきたゾンビに殺されていたんだと思う。それでウィル・スミスの果敢なチャレンジにも一定以上の興味が持てなかった。というか、なんで頑張るんだろうと不思議に思いさえした。

一方、「ワールドウォーZ」では、前情報もあってか最初のゾンビに殺されなかった。だから生き延びるための方法や考え方に馴染んでいけたんだと思う。死なずに生き延びられたので、ゾンビから逃げる緊迫感が我が事のように感じられて、パニックものとしてかなり楽しめた。

 

主人公が「行動は命だ」と言い聞かせるように話すシーンがある。僕は「行動、行動」言うやつには「思考、思考」と返したい願望があるんだけど、さしせまった危険に対処するにはやっぱり行動しかないよなあと思わせるだけの説得力がそこにはあった。ゾンビが襲ってこないのに行動第一の人は迷惑だと思うけど、実際にはゾンビが襲ってくるんだから、考える前に行動だと自然に思えた。

前半で恐慌をきたした世界をうまく描いていることも、普段ゾンビ映画を見ない自分がゾンビワールドに入り込めた要因として大きいと思う。スーパーで警察官が向かってくるシーンなど、ところどころで異常事態の見せ方に感心させられた。普段は正常さを保つ存在である警官を、異常さを見せるための表現としてうまく使っている。

主人公がいいやつで感情移入しやすいだけに、おそろしい世界に放り込まれたような感覚がすごくある。冒頭に何気ない日常のシーンがあるから、ゾンビがいても日常とつながっている感じがあって恐ろしいので、上手だと思った。地下鉄ソングの演出とかかなりグッときた。

あと、主役のブラピ、かっこいい。人物に向き合ったときの表情がすばらしい。いくつかある対話シーンは全部いい。この人は本当に何にでもなれる役者だなと脱帽する。この前見たのは「ジャッキー・コーガン」で、彼はやさしい殺し屋役だった。

 

「ワールドウォーZ」はとにかくブラピがかっこいいのでおすすめ。グロ描写は抑えられながら、心理的には充分グロいので、グロいのは苦手だけど甘っちょろいのも物足りない、なんていうワガママさんにも楽しめるんじゃないかと思う。

宣伝に関しては、ゾンビが出てくることを隠すから余計にゾンビ映画であることが強調されるんであって、やっぱりあの宣伝はどうなんだろうと思う。中身はコテコテのゾンビ映画っぽくないし、こそこそしないでもっと堂々と宣伝すればいいのに。ブラピを核に据えて、家族愛をテーマにして…ってそれじゃ今の方針と同じか。じゃあそれはそれでいいんじゃないかな。ただしゾンビは隠さないで。

 

それから、「パシフィック・リム」も見た。こっちは全編これクライマックスというようなすごい映像が目白押しで、鳥肌だけじゃなく、なんかもう逆にあくび出ちゃった。爽快感やら重厚感やら、とにかくゴージャスなので映画館で見て損はないと思う。ゴジラを見て喜んだ記憶がある人にはマスト。