う飄々(仮)

いうてまじめやで。

2月1日は映画の日だった、いやマジで

 

映画の日(毎月1日)に4本の映画を見た。

オールナイトは何回か行ったけど、日中それぞれ別の映画館で4本も見るのは今回が初めてだった。大阪は映画館が多くて捗る。

朝から晩まで映画を見て、まさに「映画の日」って感じだった。しかも、ジャンルがぜんぜん違う映画のどれも全部がおもしろかった。

 

せっかくなのでまとめて感想を書いてみる。

 

1.東京家族 75点

大阪ステーションシティシネマ

9時30分からの上映

 

橋爪功がとにかくすばらしい。

どうしても「東京物語」と比べて見てしまうけど、朝焼けの色は東京物語にはない良さだと思う。説教臭いセリフもあったけど嫌な感じがしなかった。訥々と語られるところに不器用さを感じてむしろ親しみやすかった。

蒼井優の役がちょっと残念といえば残念。他に比べて人物設計が杜撰で「年寄りに気に入られるタイプ」という説明だけで押し切ろうとしたように見える。他の人物が良く出来てるだけに目立ってしまう。ただ蒼井優自体はぜんぜん悪くなくて、むしろ蒼井優だから持ちこたえられたと言える。

橋爪功がとにかくすばらしくてハマり役、彼の到達をフィルムに残すという意味だけでも、この映画の価値は充分にある。スター俳優ではないだけに、かえって他の若い俳優たちへの影響は大きいんじゃないかと思う。感動した。

 

2.塀の中のジュリアス・シーザー 80点

シネ・リーブル梅田

12時35分からの上映

 

イタリア映画、音楽がまさにイタリアンテイストで印象的。

シェイクスピア演劇にまつわる映画というのはいっぱいあるけど、この映画は役者として囚人を題材に選んだところがおもしろい。とうぜん制約は多くなる。たとえば女優を使えないとか、画面が単調になるとか。でもその制約を逆手に取り、思い切って練習風景を白黒で見せるのは効果的だと思った。70分そこらの短い作品で、無駄は一切無く完成度が高かった。「ジュリアス・シーザー」を読んでいた方が楽しみやすいとは思うけど、読んでない僕でも充分おもしろく見られた。

 

3.ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ! 78点

梅田ガーデンシネマ

16時40分からの上映

 

バレエダンサーの卵に密着したドキュメンタリー。

ニューヨークのバレエコンクールに出場する少年少女たちにカメラを向けている。多くの審査員の前で、採点されるために一人舞台に立つ緊張感には思わず息を呑む。踊り始めた彼らの美しさを見ると、つい溜め息がもれる。

ひたむきで一途な子どもたちが選ばれたり選ばれなかったりする様子はおそろしく残酷。

カメラの誘導があからさまだったり、大人の意向が見えて鼻白むところはあるけど、被写体がこれ以上ないほどの完璧さなので、彼らひとりひとりのその瞬間の「顔」を記録したというだけでも価値がある。

5分間の演技の最中にこけてしまった女の子がすぐ立ち上がり、最後まで踊り通して、その日のもうひとつの演目にむけて集中し直す場面はとくに胸を打たれた。

 

4.ニュータウンの青春 88点

第七藝術劇場

20時50分からの上映

 

この日最大の問題作。

ぼくはバカがすきなんだということを思い出させてくれた。

会話の繊細さが群を抜いている。映画でここまでしっくりくる会話をぼくは初めて見た。リアリティって言葉なんか置き去りにするほど、なんだろう、自然。

でも自然というとまた言葉が遅れを取る。しいて言うなら普通。フツー。ふつう。

というか言葉にできる部分をこえた表現で、映画じゃなきゃできない、映画ならではの到達点まで、完全にキテる。

で、その到達点っていうのが、日常なんて言うのもバカバカしいような、バカな3人のバカなノリでしかない。さよならとか成長とかも大事だけど、それは言葉がまだ追いつける領域だとぼくは思う。バカなノリっていうのは言葉では到達できない。バカだからバカバカしいし、すくおうとしてもめっちゃ多くをこぼしてしまう。

バカなノリ、それだけのことをわざわざ作り込んで一生懸命映画にしている。手段と目的がひっくり返らない。笑わせようとしてくれてはいるけど、笑わせるためにバカなノリを写し撮っているわけじゃない。

それを見てもらうために笑わせようとしているっていうのがぼくにはわかる。

 

もう本当に最高でふつうで笑えて青春でバカで映画でなつかしくて、いやマジで。

 

予告見てピンときたら、本編を見たときに「思てたのとちがう」とはならないだろうから、一度予告だけでも見てみてほしい。


映画『ニュータウンの青春』予告編

 

↓公式サイト

http://www.newtown-seishun.com/

 

 ニュータウンの青春についてはまた記事を書きたい。