う飄々(仮)

いうてまじめやで。

1 2、 ジャンゴー!

 

クエンティン・タランティーノ監督の新作映画『ジャンゴ 繋がれざる者』、サントラの全曲フル試聴実施中

http://amass.jp/15341

 

 

前回の映画の日に見に行った『ジャンゴ』はとってもよかった。期待通りの出来だった。

 

こういう勧善懲悪というか、見せ方として正義がはっきりしている映画では、悪役がとくに重要になると思うけど、そこがとくに期待以上といってもいいほど素晴らしかった。

とくにディカプー。

自分の中ではディカプリオの好感度から何からごっそり上がった。俳優としての力量的にはレボリューショナリー・ロードですでにけっこう高まっていたけど、あれだけテンションを上げまくりながら上品さをギリギリのところで崩さない悪というのは、そのバランス感覚も含めて、見てて気持ちがいい。

「フランス語ができないフランスかぶれ」という設定はたぶんコテコテなんだろうけど、それがまたいい。

骨相学のサンプルと木槌のイメージもかなりキマってた。

 

ディカプリオの懐に忍び込むため「悪を演じる」キングシュルツとジャンゴの対比も面白い。

背中に何度もムチを受けた男の忍耐が自分を殺し続けるも、思わず「本当の顔」が表に出そうになる瞬間には息を呑んだ。

シュルツとジャンゴはそれぞれ別の場面で「本当の顔」をのぞかせることになるから、二つの物語が並走する形になる。二つのドラマ、二つのカタルシス、二つの正義がある。

 

「演じる」というのは「耐える」ことを含み、悪を演じるというのは、彼がそれによって何に耐えるか、ということをはっきりさせる。

同時に、「一番許せないこと」が本人にもはっきりする。

 

その辺の役割分担がきっちりしてたから、繊細に心理描写を重ねる部分と、派手に大爆発させる部分とが、混ざり合って半端になることなく、ある程度独立した話同士としてべつの決着を付けられていた。これはとくに物語構成上の成功だったと思う。

 

もう一人の悪役、サミュエルL・ジャクソンのギョロついた目とキーキー声も、本当に憎たらしくて素晴らしい。